最近多い誤用敬語


「お知らせ」として配布された文書に,「来週の日曜日に消防設備等の点検に伺いますが,御在宅する必要はありません。」と書いてあった。
どうも気になる言い方なのだが,どこが問題なのだろうか。

【解説】
「御在宅する」に問題がある。「ご……する」は謙譲語気鮑遒觀措阿世らである。
この場合は,在宅している相手を立てて表現したい場合であるので,「御在宅なさる必要…」あるいは,より簡潔に「御在宅の必要…」などと尊敬語を用いるべきである。

                       敬語の指針より抜粋


受付の人に,「担当者に伺ってください。」と言われたが,客に対する言い方としては,何だか妙な感じがした。どこが変なのだろうか。

【解説1】
「担当者に伺ってください」の「伺う」は謙譲語気任△襦したがって,客の動作に用いる敬語ではない。
客を立てるためには,尊敬語を用いる必要がある。この場合は,「担当者にお聞きください。」あるいは「担当者にお尋ねください。」とすれば良い。

【解説2】
「伺う」は謙譲語気任△辰董ぁ嵎垢・尋ねる」という動作の<向かう先>を立てる敬語である。
したがって,「受付の人」側の人物である担当者を立ててしまうことになり,尋ねた客を立てる敬語とはならない。

同様に,「お聞きする」「お尋ねする」といった敬語も,「伺う」と同じ謙譲語気任△襦
したがって,「担当者にお聞きしてください。」「担当者にお尋ねしてください。」なども「伺う」と同様に,客の動作に対しては用いることができない。

                        敬語の指針より抜粋

駅のアナウンスで御乗車できません。と言っているが,この敬語の形は適切なのだろうか。

【解説1】
この場合には,「御乗車できません」ではなく,「御乗車になれません」が適切な形である。
あるいは,「御乗車いただけません」や「御乗車はできません」という敬語表現も可能である。


【解説2】
「お(ご)……できる」というのは,謙譲語気侶舛任△襦屬(ご)……する」の可能形である。
「自分が届けることができる」ということであれば「お届けできる」,「自分が説明できる」ということであれば「御説明できる」で良いが,ここは,相手(=乗客)の行為なので尊敬語を使うべきところである。

尊敬語の可能形は「お(ご)……になれる」であり,ここでは,その否定の形を使った「御乗車になれません」が
適切な形だということになる。

                       敬語の指針より抜粋

この店をよく御利用されるんですか

「御利用される「御説明」される」のような形はよく使われていると思うし,自分も,例えば「先生もこの店をよく御利用されるんですか。」などと使ってきたのだが,ある人から,変な敬語だと指摘された。どこが変なのだろうか。

【解説1】
規範的には,「適切な敬語」だとは位置付けられてこなかった形である。
したがって,現時点では,「利用される・利用なさる・御利用になる・御利用なさる」などが適切な形だと言える。

【解説2】
「御利用される」を使う人は,その言葉の成り立ちを「御利用する+れる」ととらえるのではなく,「御利用+される」という意識で使っていると考えられる。
後者のような成り立ちの言葉として受け止めるならば,「御利用される」は尊敬語としてあり得る形だと言える。
ただし,「御利用される」の「御……さ」の部分が,「ご……する」という謙譲語気侶舛任△蝓い海譴法屬譴襦廚箸いβ嵯標譴付いた<謙譲語機楝嵯標譟笋料塙腓察い垢覆錣繊峺耆用するれる」の形だと見られることなどから,規範的には,適切な敬語ではないとする考え方が有力である。
                                       
                          敬語の指針より抜粋

敬語遣いで最も間違えて使われることの多い言葉に、「申す」という言い回しがあります。

例えば、「ただいま、部長が申されましたとおり…」という言い回しは間違いです。
「申す」はへりくだって言う謙譲語ですので、「今、わたくしが申しましたように…」というように自分自身(自分の行動)に使うのが正解です。
正しくは、「ただいま、部長がおっしゃいましたように…」という言い回しになります。

その他に、「結構」という言葉もよく間違えて使ってしまうことがあります。
例えば、なにかの順番を決めるときに「この順番で結構でしょうか?」というのは間違いです。
「結構です」は、こちらの問いかけに相手がOKを出すとき、すなわち、相手がこちらに返す言葉です。
ですので、この場合は「この順番でよろしいでしょうか?」という言い回しが正解です。



はい、ではすぐに取りに参ります

どこを直せばよいでしょうか?

さらっと聞き流せば、どこが間違っているかわからない人も多いのでは?

まず、「すぐに」と言う言葉は敬語としては軽く、ここでは「さっそく」という語を用いたいですね。

次に、「取りに」という言葉も、目上の人から物をもらう時には使わないもの。

この場合は「いただく」を使いたいものです。

最後に「参ります」の部分ですが、「伺う」という言葉を使ったほうが、相手をより立てるニュアンスを含んでいるので、「参る」よりも尊敬の意が強くなります。

したがって、この文例では「はい、さっそくいただきに伺います」となります。



本日はご来店いただきまして、ありがとうございます

この言い回しは、もっとも間違って使われている表現かもしれません。

尊敬語の使い方で、迷うことが多い言い回しのひとつが、「いただく」と「くださる」の使い分けです。

「いただく」は自分の行為に対して使う謙譲語なので、本来は相手の行為には使いません。

「いただく」も「くださる」も、相手の行為に対する尊敬語だと勘違いしている人が多いのです。

したがって、この場合に使うのは「くださる」の方ですので、「本日はご来店くださいまして、ありがとうございます」と言うのがベストです。

明らかな間違いではありませんが、尊敬表現としてはおかしな点があると言うことを覚えておきましょう。



開封後はお早めにお召し上がりください

食品のパッケージに、よく表記されているフレーズですね。

「召し上がる」は「食べる」の最上級の尊敬語です。

ですので、「召し上がる」にさらに「お」を付けて「お召し上がりください」と言うのは二重敬語となり、過剰な表現だと考えられています。

したがって、この場合は「開封後はお早めに召し上がってください」が正しい使い方です。

しかし、最近では「お召し上がりください」という言い回しが定着しており、間違いとは言い切れなくなってきています。

その背景には、「召し上がってください」では尊敬のニュアンスがうすく感じられ、さらに丁寧に表現しようとした結果のようです。

しかし、本来は「お召し上がり」という言葉はあまりすすめられないということを知っておくべきです。



お忘れ物をいたしませんよう、気をつけてお降りください

鉄道やバスを利用した際に、よく耳にするアナウンスです。

普段はあまり気にかけないと思いますが、じつはおかしいところがあります。

「いたす」という言葉は「する」の謙譲語で、「私がご案内いたしましょうか」のように、自分の行為に対して使うのが正しい使い方で、相手の行為には使いません。

「する」の尊敬語は「なさる」ですから、この場合は「お忘れ物をなさいませんよう、気をつけてお降りください」になります。



大会当日は、弁当をご持参ください

どこが間違っているでしょう?

いろんなシーンでよく聞くフレーズですが、この「持参」は言葉自体に謙譲の意が含まれています。

したがって、本来は自分の行為に用いる言葉であって、相手への敬意を表す言葉としては使えません。

この文章の場合、正しくは「大会当日は、弁当をお持ちください」です。

しかしながら、この「持参」に「ご」を付けた「ご持参ください」という語も、最近では丁寧語としてすっかり広まってしまっています。

「履歴書をご持参ください」や「雨具をご持参ください」などなど。

今では間違いとは言いにくいものの、正しい用法ではないと言うことを知っておきましょう。

◎使える!フレーズ集◎
【常套句】 じょうとうく
同じような場面で決まって用いられる文句。
決まり文句。
常套語とも言う。

言いにくいときの常套句≫

断りたい時の常套句≫


【社交辞令】 しゃこうじれい
世間づきあいを円滑にするために用いる、儀礼的なほめ言葉やあいさつ。
内実の伴わない空々しい言葉。
外交辞令とも言う。
「どうせ、社交辞令でしょ!」などと、悪く捉えることも多いが、ビジネスにおいては重要な要素のひとつでもある。

会った時には…≫

別れ際には…≫


【慣用句】  かんようく
二語以上の単語が結合して、それ全体である特定の意味を表すもの。
「油を売る」「あごを出す」の類。
イディオム。慣用語。

慣用句間違い探し≫
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